since 2012.05.03

黒い粉と体調不良の関係

「黒い粉」は、プルトニウムではなくウラン


今年2月に、福島県南相馬市内で話題になった強力な放射能を放つ「黒い粉」だが、この5月に、週刊誌が、この「黒い粉」が東京都内の至るところに存在していると報じています。記事では、この「黒い粉」から放たれる放射線線量毎時2μSvを超え、東京都の平均的な空間線量(地上1m)の約20倍で、1kgあたり108万ベクレルという強力な放射線だそうです。

自然界での放射線は、中性子やその他の粒子などの衝撃なしで核分裂して放射線を放つ物質である、プルトニウム240、プルトニウム239、ウラン238、ウラン235です。この中で、プルトニウムは、ウラン235の核反応によって生じる物質です(天然ウランの中にも微量ですがプルトニウムも含まれていますが)

この「黒い粉」を、福島原発事故とを結びつけると、放射線を放つ物質はプルトニウムとなりますが、プルトニウムは金属では銀色で、酸化すると色がかわりますが、黒い色には変化しません。

プルトニウムのイオン状態による色の変化は下記のとおり
+III価 (Pu3+) - 青紫色
+IV価 (Pu4+) - 黄褐色
+V価 (PuO2+) - ピンク色と考えられている。
+VI価 (PuO22+) - ピンク、オレンジ色
+VII価 (PuO52-) - 暗赤色のまれなイオンであり、極端に酸化性雰囲気下でのみ生成する。

それでは、この「黒い物質」の放射線の源はなんでしょうか。

私は、今回の震災後の放射能被害は、福島第一原発の事故によるもとの、チッソ石油化学(株)五井製造所の劣化ウランの倉庫の燃焼事故による劣化ウランのエアロゾル化によるウラン238の大気中の拡散による汚染とがあると主張しています。

セシウムやストロンチウムの健康被害と、ウラン238の重金属による健康被害を分けて対処しなければならないと訴えています。

この考えでいけば、この黒い粉の正体は、プルトニウムではなく劣化ウランということになります。ウランだとすると、「黒い物質」の説明は、ウランのイオン状態による色の変化がしてくれます。

ウランのイオン状態による色の変化は下記のとおり。
3価(紫色)
4価(緑色/茶色)
5価(黒色)
6価(黄色)

震災後の3月22日に、東京や横浜で黄色い粉がやはり高い放射線を出していると話題になりました。政府は、スギ花粉だとしましたが、ウラン6価では黄色です。また、ウラン4価は、スギ花粉と類似している色ではないでしょうか。そのウランの出元が、チッソ石油化学(株)五井製造所の劣化ウランの倉庫だとすれば、このときの黄色い粉も、劣化ウランだったのかも知れません。

この黄色い粉も、今回の黒い粉も、政府はその物質がなんであるのかわかっているはずです。わかっていて、スギ花粉だとしたり、藻やカビの一種だと意図的に情報を流しているとしか思えません。なぜなら、スギ花粉でも藻やカビでは、放射線との関係は説明できなからです。

体調不良の原因は、劣化ウラン


問題は、東日本での放射能汚染を、福島第一原発事故を中心に考えていてはいけないということです。

ヨウ素の内部被曝は、甲状腺の異状につながりますし、セシウムの内部被曝は、筋肉に蓄積されることで、心筋梗塞や脳梗塞などにつながることは、政府は認めてなくても、海外の専門家の指摘していることで間違いはないでしょう。ストロンチウムも骨に蓄積され、骨髄が放射線で駄目になるために、白血病を誘発すると言われています。

これらに対して、劣化ウランの健康被害は、重金属中毒の症状を出しますので、核反応による放射性物質による健康被害の症例とは一致しません。行き着くところは、”原因不明の難病”で放置される可能性が高いと考えられます。

政府は、チッソ石油化学(株)五井製造所の劣化ウランは延焼を免れたとしていますが、燃え残ったドラム缶がいまある33本だったとするととんでもないことになります。

現場の状況でも、火元となったコスモ石油(株)干葉製油所の、液化石油ガスタンクの燃焼は10日間続いていて、隣接するチッソ石油化学(株)五井製造所も大きな被害を受けています。そして、そもそも、劣化ウランが、どのくらいの在庫があったのかも発表されていません。

民主党政権の原発事故に関する発表は、メルトダウンをはじめ、すべて真逆に捉えるべきであり、チッソ石油化学(株)五井製造所の劣化ウランは燃焼していて、エアロゾル化した劣化ウランは、東京の湾岸地域を汚染したと考えるべきでしょう。

その証拠が、この地域でも爪検査でのウランの検出であり、強力な放射線を出す、「黒い粉」の存在、そして、湾岸戦争の帰還兵が訴える症例と酷似している、原因が不明とされる体調不良を訴える人の急増です。

東日本の人々の体調不良は湾岸戦争に従事した兵士と同じ


劣化ウランの健康への影響は、クウェートやイラクの人々が後遺症に苦しんでいて、米軍の兵士自身も、この後遺症に苦しんでいます。公式には米軍は、劣化ウラン弾との因果関係を否定していますが、関係があるのは周知の事実です。

クウェートやイラク、そして湾岸戦争に従事した米軍兵士が苦しんでいる、鼻血、喉の不調、咳、鼻の痛みと、下痢、倦怠感、頭痛、そして免疫力の低下などの症状と、東日本で頻発する体調不良は同じ症状です。

最近では芸能人が、次々と、体調不良を訴えていて、放射能汚染や健康被害をデマや風潮とするプロパガンダの最前線にいた芸能人が、放射線被害を逆に市民に周知させるとは、政府関係者には想定外のことだったでしょう。

東京の湾岸地域が劣化ウランの燃焼事故による汚染の影響を受けているとすれば、体調不良などの健康障害の症例は、イラクやクウェート、そしてこの戦争に従事した米軍兵士の症例と一致するのは当然でしょう。

政府は、劣化ウランの燃焼を認めないと思います。なぜなら、劣化ウランの存在に注目が集まることを避けているからです。しかし、子供たちを中心とした爪検査でのウランの検出報告、セシウムやストロンチウムでは説明できない体調不良など、「ただちには健康に影響がない」とした「ただちに」の猶予期間はとっくに過ぎています。

放射線による健康被害は、セシウムやストロンチウムだけではなく、ウラン238にも配慮するべきであり、湾岸戦争での劣化ウラン弾のレポートを研究し、東日本で体調不良を訴える人々の治療に反映するべきでしょう。

また、千葉のチッソ石油化学(株)の劣化ウランの燃焼事故を再検証し、実際にどのくらいの劣化ウランが燃焼したのか調査するべきです。事故後の6月に倉庫を新築したと聞いていますが、燃焼前の倉庫の大きさや、劣化ウランの在庫の入出庫歴、そして搬入経路など基本的なデータを開示するべきです。

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