1号機の水素爆発は人為的ミス
1 ポイント
@ 1号機の水素爆発の中心は4階。
A 非常用復水器は地震では損傷していない(機能していた)。
B ドライベントは非常用復水器の逃がし弁を利用した。
C 福島第一原発の作業員は非常用復水器の操作を知らなかった。
2 1号機の水素爆発の経緯
2011年3月11日14時46分、東北地方太平洋沖地震が発生。
福島第一原発発電所では、稼働していたとされる、1号機(46万kW)、2号機(78.4万kW)、3号機(78.4万kW)がこの地震により自動停止。地震の揺れで、発電所内の受電設備が損傷、及び鉄塔が倒壊して外部電源が喪失となった。
受電不能によりいったんは非常用交流電源(ディーゼル発電機)が起動したが、地震41分後の15時27分の第一波以後、数次にわたる津波で、地下に設置してあった非常用交流電源が水没し燃料のオイルタンクも流失。福島第一原発発電所は全交流電源を喪失した。
1号機は、地震の揺れで、制御棒が一斉に挿入されるスクラムが起動。また、主蒸気管(SR弁が自動で閉められ原子炉格納容器が隔離。直後から崩壊熱が発生。5分後に内部圧力の上昇で非常用復水器が自動起動。
原子炉圧力容器の蒸気は、水で満たされた復水器の内部を通る配管を通り、熱交換で水となり格納容器に戻されるという循環が始まる。これにより、水蒸気から生まれる圧力と格納容器内の水位を維持する。
この非常用復水器は、配管を蒸気が抜けるために轟音を発生させるが、このシステムを知らない作業員は、3時ごろに、この轟音を異常音と勘違いをして非常用復水器を手動停止してしまう。
原子炉圧力容器の中は、崩壊熱により蒸気が発生しつづけて、内部の圧力は高まり水位が低下。
16時36分に冷却装置不能と記録されているので、この前後に非常用復水器が動いていないことに気が付いたのではないだろう。この後、燃料棒が露出し水素が発生し、さらに燃料棒が溶融。メルトダウンに至る。
原子炉圧力容器は、水素によって高圧力となり、非常用復水器の逃がし安全弁(1A、1B)が自動開放され圧力容器を囲むシュラウドに排出。
12日0時には、シュラウドの内部圧力が限界値を超えて格納容器が破壊される局面となり、格納容器の圧力を逃がすドライウエルベントの命令が政府から出される。
現場では致命的事態は避けなれないとし撤退を打診していたが、官邸菅直人は撤退は許さずとの命令をする。居ても立っても居られない菅直人は7時にヘリで現場に乗り込む事態となった。
菅直人は撤退を認めずに、格納容器の圧力を逃がすドライウエルベントを指示。現場の吉田は、格納容器と非常用復水器をつなぐ配管の逃がし安全弁(2A)の開放によるドライウエルベントを遠隔操作で行うがうまくいかない。
結局、14時30分、4階に作業員が入り手動で逃がし安全弁(2A)を開放。格納容器内の圧力を逃がすことに成功した。
4階に排出された水素は大物搬入抗を通って建屋内に拡散するが、15時36分爆発。爆風は、大物搬入抗を塞いでいた上蓋を押し上げて鉄骨構造の5階に流れ壁を吹き飛ばした。(4階までは鉄筋コンクリート)
着火源はメルトアウトした核燃料。爆発の時刻に、メルトダウンした核燃料は、圧力容器を突き破り(メルトスルー)し格納容器をも突き破った(メルトアウト)のである。
1号機の爆発の後、臨界を止めるためにホウ酸水を注入するが、格納容器を破りメルトアウトした核燃料には届かない。メルトアウトした核燃料は、建屋のコンクリートを突き破り岩盤を溶かしながら地下へと沈んでい行く。
2013年7月に起きた福島県内部の群発地震は、このメルトアウトが地下水脈に達したことを意味している。地下水と接触し水蒸気爆発を断続的に起こしたのだろう。
そして、メルトアウトは地下水脈を抜けてさらに沈降している。そしてその穴に流れ込んだ汚染水は池のようになっているだろう。
2013/11/18 改稿
戻る
|