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相続とは承継する手続きをいい、請求するものではない

相続とは、人が死亡時に所有していた財産を第三者が承継する手続きをいう。

第896条
相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。ただし、被相続人の一身に専属したものは、この限りでない。

従って、死亡した人の銀行口座や不動産などの債権は名義変更などの手続きによって財産が譲渡される。相続とは死亡した人の財産(遺産)を承継する手続きである。

譲渡人が死亡した場合に、譲渡人の合意を証明するものは、第960条で遺言のみである

債権の譲渡は、債権の譲渡人と譲受人との間の合意があれば成立する(民法第466条)が、譲渡人が死亡した場合、譲渡人の合意を証明するものは、第960条で遺言のみと定められている。また、死亡した譲渡人の合意が証明できなければ、民法の法定相続に準拠した相続の手続きを経て相続人の固有財産となる

民法967条は「遺言は、自筆証書、公正証書又は秘密証書によってしなければならない。ただし、特別の方式によることを許す場合は、この限りでない。」と遺言の書式を規定している。従って、生命保険契約は遺言規定を満たしていないから無効契約となる。

相続税と民法での死亡保険金の取扱いが違う理由

保険者が支払う財産上の給付は被保険者に支払われるものであり、被保険者が死亡した時点で被保険者の相続財産となる。この理由で相続税法では死亡保険金は相続の対象となるのである。

これに対して、民法では、死亡した被保険者は物理的に請求するこができないから、保険金受取人を決めているのであり、保険金請求権は保険金受取人の固有の権利として存在する。

本来、遺産を分割・譲渡するには民法の規定に準拠しなければならないが、死亡保険金は民法の規定に従わずとも、保険法によって、保険金請求権の行使により保険金受取人の固有財産に移管される。この理由で、固有財産となった死亡保険金は、民法の相続財産の構成にはいらないと考えるべきである。

相続とは、民法の財産の分割・譲渡の手続きの規定であり、手続きにより日保険者の財産が相続人や遺贈者の固有財産となることをいうのであり、請求権で形成される固有財産ではない。

大審院昭和11年5月13日判決は、保険金請求権は保険金受取人の固有の権利としているが、支払われる保険金を保険金受取人の財産とはいっていないのはこの理由である。

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