消費税引き上げ問題の本質


1 現代の経済問題はカオス理論で読み解くべし

2012年、野田政権の消費税引き上げは、社会保障制度の原資を確保するためにではなく、国際通貨基金(IMF)からの圧力である。

基本的に、累進課税の直接税と比累進課税の間接税の直間比率が政治に求められるのであるが、社会保障費は、富の分配の原則である応能的な直接税(累進課税)を充てるのが原則であり、この意味でも、逆累進課税である消費税を社会保障と関連付けて引上げるのは詭弁以外のなにものでもない。

財務省や野田政権が、非論理を押し通して消費税を引き上げようとするのは、そうしないと、何かが起きるからであり、それは直近の話であるはずだ。

地震の前のねずみのように、怯えながら慌てふためいて霞ヶ関内を走り回る官僚らの行動を冷静に観察することでその答えは見えてくる。そして、それは、ユーロ経済の崩壊の危機とともに、日本に対するIMFの消費税引上げの圧力と深く関係しているのである。

日本の年金問題
消費税引き上げ問題
AIJ投資顧問による企業年金消失問題
2012年2月のHSBCホールディングスの日本撤退
日本の信用保証制度とCDS取引
IMFからの消費税引き上げへの圧力
オペレーション・ツイスト
AIJ投資顧問による企業年金消失問題
ギリシャ、スペインの国債の暴落

これらの経済的事象が、カオスのように絡まり、共通の方向性に従って”核”を構成する。そして、原子核が集まり元素を構成するように、”核”があつまり、経済や経済を形成し、さらに権力を構成していく。

日本の消費税引き上げの問題は、ユダヤイルミナティが目指すワンワールドへの渦の流れの一つの現象に過ぎないが、ここをしっかり分析し理解しないと、この渦の中で日本丸は転覆してしまうだろう。

まず、消費税の引き上げが直近の問題であり、日本は、IMFの設定した国の財政収支の基準を受け入れなければならないという現実が、消費税の引き上げの核心であることを理解するべきである。

以下に、この事態に至る経緯を説明していく。日本の政治家や官僚、経済学者や経済評論家のごく一部の人々は理解している事実を、いわゆる市民レベルの人々が理解することで、ユダヤイルミナティが目指すワンワールドへの渦の流れを感じることできればと思い、この論をまとめた。


2 CDSは、日本の信用保証制度から生まれた

クレジット・デフォルト・スワップ (Creditdefault swap、CDS) とは、日本の信用保証制度のようなもので、金融機関の債務を、胴元である保険会社が肩代わりするという制度だ。さらにいうと、CDSとは、日本の信用保証制度を、グローバル経済に組み直したシステムである。

信用保証制度の元では、金融機関で不良債権が発生すると、保証契約によって債権相当額が支払われる。日本の信用保証制度では、現金が支払われるが、CDS契約では、相当額の国債が支払われる。

CDS契約の胴元の保険会社は、CDS契約に必要な国債を保有しているわけではなく、銀行などが保有している国債を、手数料を支払って預かり運用している。いわゆる空売りだ。

CDSで運用される国債は短期証券が主力で、国債の価格変動での運用益と、保証の手数料という2本立ての収益構造となっている。

銀行で不良債権が発生すると、保険会社は、CDS契約によって国債を銀行にわたさなければならない。近年は、国際スワップデリバティブ協会が行う開催するオークションで得た現金を支払うシステムになっていたが、現実には、国債の発行元の政府機関が買い上げていたと思われる。

ギリシャの経済破綻が認定されギリシャ国債が不良債権になると、金融機関が保有するCDSの契約履行が行われる。破綻の規模が大きいと、契約履行できる国債の手持ち分がないので経済システムがデフォルトする。

3 CDS契約履行の手順(オペレーション・ツイスト)


この事態を回避するために、国債を保有する金融機関が、短期国債から長期国債への切り替えを進めている。 これは、オペレーション・ツイストと呼ばれている。

米国債は、FRBが主導して長期国債への切り替え作業中で、中国でもこの2月に、日本短期国債4兆188億円分を売却し日本中長期国債及び有価証券5414億円分の大量購入を行った。

CDS契約履行されると、保険会社は、不良債権をと引き換えに長期国債を銀行に渡さなければならない。しかし、保険会社には、決済するだけの国債を保有していない。

そこで、保険会社に公的資金を投入し、銀行保有の短期・長期国債を買い取らせる。そして、オペレーション・ツイストで、中期国債を長期国債に替えて、銀行の不良債権と長期国債を交換させる。

銀行は、不良債権が長期国債にかわり、保有していた中期国債が現金化され、収支状況は一気に改善される。保険会社は、CDS契約の不履行を回避できる。

この一連の流れで、保険会社だけが、公的資金投入という債務が発生する。

4 CDS契約履行を恐れる財務省と消費税の引き上げの関係

日本の長期国債は高い水準で推移しているが、CDS契約が履行されて、グローバル経済に流通した場合に、日本の財政収支では、日本国債の評価は維持できない。日本国債は暴落するだろう。

世界の金融市場の中で、日本国債市場は鎖国をしていたようなものであり、日本国債の健全性は、金融的に鎖国の中で成立していた。

しかし、グローバル基準に晒されたとき日本国債の暴落は避けられない。特別会計を主力予算とする日本国の財務状況は、世界は理解できないし認められないからだ。

日本は、財政収支のバランスを改善しなければならず、そのためには、税の収支を改善させるしかない。これに対する財務省の答えが、消費税の引き上げである。

ギリシャやスペインの経済問題で、CDS契約履行は直近のこととなり、日本国債が世界の金融市場に登場するのは待ったなしの状況である。

日本政府は、財政収支の健全性を世界にアピールしなければならない。日本の国会は、CDS契約の問題点を取り上げずに、消費税引き上げだけを問題にしているから、頓珍漢な議論になっている。

5 AIJ投資顧問の強制捜査とCDS取引

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■AIJ投資顧問の年金資産消失の流れ
1 年金資産としての日本国債を、HSBCに預けて手数料収入を得る
2 ユーロ圏のA銀行の債務保証契約(CDS)で日本国債を担保に手数料収入を得る
3 CDS契約先のB取引先の株価が低落
4 HSBCが、CDS契約の債務を割引いた価格で、A銀行から日本国債と交換
5 A銀行のバランスシートは回復 6 B取引先が倒産。HSBCの債務が不良債権となる
7 CDS契約が履行され、HSBCに日本国債が、AIJに不良債権が移動する
8 HSBCは、AIJから預かっていた日本国債を返却

HSBCは、元手がゼロで日本国債を資産としていき、その資産を使い、ユーロ危機で暴落したギリシャやイタリヤ国債のCDS契約を引き受ける。ユーロは経済破綻を回避するために、公的資金を金融機関に投入する。

■ユーロの銀行救済の流れ
1 銀行に公的資金を投入する
2 銀行はその資金を、CDSの引受け先に融資をする
3 銀行は不良債権のCDS契約の履行で、不良債権は日本国債へと入れ替わる
4 HSBCの日本国債はなくなり、不良債権が残る
5 再建の見込みのある企業を合理化して株価を上げてから売り払う

リーマンショックの時は、HSBCは、AIGの米国債を空売りで引受けて、サブプライム問題で銀行の取引先企業の株価が下がり、CDS契約の担保となっている米国債の価格が上がった時に売りをかけて、利益を上げている。結果は、CDS契約の胴元であるAIGに公的資金が投入され。CDS契約は履行された。

AIJ投資顧問の年金は、ユーロ圏の不良債権に替わっただけであり、消えたわけでもなく詐欺でもない。

年金は日本国債で運用していたが、その日本国債を担保に、クレジット・デフォルト・スワップ=CDS取引をしていて、預かっていた日本国債が、ユーロの銀行が保有する不良債権に入れ替わった。

AIJ投資顧問は、CDS契約履行で日本国債の現物決済をしようとしたが、日本国債の海外市場流失を懸念した財務省や厚生労働省はそれを認めなかったために損失が膨らんだ。

AIJ投資顧問による年金損失問題の根本原因は、CDS契約にたいする日本の財務省の不作為であり、AIJの浅川和彦社長の逮捕は、財務省や厚生労働省の官僚らの不作為を隠蔽するための不当な逮捕である。

6 日本の取るべき道

世界情勢は、経済が基本で動いている。経済の流れにイデオロギーが付帯し宗教が絡んでくる。消費税も、CDS契約の履行を背景に、引き上げざるを得ないのであり、日本国民の生活保障など関係ない。

原発行政も、日本の電力会社が、原子炉を利用して濃縮ウラン事業に参加していて、米国やフランスの遠心分離法プラントの稼動が遅れている状況で、濃縮ウランの供給を止めるわけにはいかないからだ。
原子力発電所と濃縮ウラン事業

しかし、福島第一原発3号機が、原子炉内でのインプロージョン型の核爆発だとすると、地震大国である日本での濃縮ウラン製造は、放棄するべきであろう。
プルサーマルという和製英語にだまされるな!

経済格差を拡大し、グローバル経済へ参画することは、ワンワールドへの道に同調することになり、日本国と日本国民の存在を否定することになる。まして、地震大国である日本を、濃縮ウラン製造の拠点とするのも、取るべき選択肢ではない。日本の取るべき道は「鎖国」である。

最低限の経済貿易を外交努力で確保し、食料自給率の問題は、大人世代の摂取量を減らして調整することも考えるべきであり、産業資源は、企業や家庭に堆積している製品のリユースすることで最低限の生産は維持できるし、また雇用も確保できる。

かつて鎖国政策を取った徳川幕府の時代には、天候不順などの凶作などは避けられなかったが、物心両面で豊かな国であったはずだ。日本は再度鎖国政策を取るべきだ。
日本は鎖国するべし