事故の真相を解く鍵は、生存者の手記とコックピット内のボイスレコーダーにある。


スコーク77と自衛隊機の誘導


スコークとは、航空機から発信される信号を、地上の中継器を介して、他の航空機がその信号を受けるシステムです。

基本的に軍用航空機に使われるシステムで、飛んでいる航空機は、発信されるこの信号をレーダーで視認することで友軍機の位置情報を得ます。

民間航空機には、このシステムの発信装置の搭載が義務付けられていて、軍用航空機は、民間航空機の位置を機内の二次レーダーで視認することができます。

送信する信号は4桁のコードで分類されていて、ハイジャック、通信機故障、緊急事態などの場合は、信号は自動で送信が継続されます。

また、同じ周波数を使って音声による交信もできます。

識別コードの種類は以下のとおり

1200 VFR(有視界飛行方式)により高度10,000 ft未満を飛行するとき
1400 VFRにより高度10,000 ft以上を飛行するとき
2000 コードについての指示を受けていない航空機がIFR(計器飛行方式)でレーダー管制空域外からレーダー管制空域へ入る場合の二次レーダーへの返信用。

3333 整備用
4444 整備用
5555 整備用

7500 ハイジャック
7600 通信機故障(NORDO=NO RADIOとも呼ばれる)
7700 緊急事態

7777(欧米)軍用機用コード。スクランブル発進した戦闘機が使用する。

スコークに対して、民間航空機は、航空交通管制から発信されるパルス信号を、航空機に搭載した中継器で受けることで、二次レーダーに反映させています。

これはモードCともいい、スコークをモードAとして使い分けています。モードCは主に、高度などを監視するシステムです。

モードA 航空機が発信した電波を地上の中継器を経由して他の航空機や施設がで受信
モードC 地上で発信した電波を航空機に搭載した中継器を経由して、地上で受信

スコークで緊急事態を宣言しても、民間の航空交通管制の二次レーダには反映されません。

民間の航空交通管制の二次レーダに航空機の緊急事態の表示が出るのは、航空交通管制が宣言を受けて手動で表示させます。

従って、民間航空機がハイジャックされてスコーク75を発信すると、近くの軍用機のレーダーに緊急事態の識別コードが反映されますが、民間の航空交通管制の二次レーダには反映されません。同じように、民間航空機がスコーク77を発信した場合も、民間の航空交通管制の二次レーダには反映されません。

また、スコーク77は、民間機が何かに要撃の対象とされた場合の緊急コールで、発信した民間航空機は、、自衛隊機の指示・誘導に従うよう定められています。

スクランブルをかけた自衛隊機が使用する言葉は次の4つです。
1.当方に従え
2.着陸のため降下せよ
3.この飛行場に着陸せよ
4.そのまま飛行してよい

これに対して、要撃された民間機が使用できる言葉は、次の6つです。
1.了解、指示に従う
2.指示に従うことはできない
3.指示を繰り返してください
4.自機の現在位置がわからない ←リクエストポジション
5.○○に着陸したい
6.降下したいスコーク77の緊急事態のコードは、民間航空機が

123便は、衝突音のあと7秒後にスコーク77の識別コードを送信しています。

しかし、東京管制が123便の緊急事態の宣言を受けたのは、衝撃音の2分29秒後。東京管制の二次レーダーに123便が緊急事態であることを示す信号がついたのはここからです。また、そのあとに、東京管制はどのような緊急事態か123便に聞いていますが、123便は応答していません。

これは、スコーク77の発信で、自衛隊機の指揮下に入っているために、答えられなかったのです。