平成15年東綱77、78号事件
意 見 書
平成15年4月5日
東京弁護士会綱紀委員会 御中
懲戒請求人 橋本 昌雅
被調査人の答弁書にたいする反論書
この裁判は、原告が、著作権やプライバシー権の侵害による損害請求を、匿名である訴外投稿者に要求できない以上、管理者である被告の責任とするしか、著作権とプライバシー権の「直接支配性」と権利の「排他性」を守ることができないと考えて裁判をおこしています。
民法の基本原則は、「所有権絶対の原則」と「私的自治の原則」、そして、「過失責任の原則」でありましょう。本件の原告(懲戒請求人 以下原告とする)は、一貫して著作権およびプライバシー権の侵害を受けたことによる損害賠償を求めているのであり、過失責任を問題にはしていません。つまり、不法行為責任を求めてはいません。
原告は、第一回口頭弁論でも、被調査人にたいして明確に、ID登録抹消は被告の権限内であることは承知していると述べています。また裁判長にも、過失責任を問題にしているのではなく、妨害排除請求権による、著作権とプライバシー権の直接支配性と排他性を主張していますし、このことは、「準備書面その2」で裁判所に書面として提出しています。
また、第二回口頭弁論では、原告の妨害排除請求権についての審理は、「準備書面その2」についてだけ行われており、ID登録抹消義務の被告側の認否を裁判長は求めていません。裁判長は、被調査人の争点を取上げなかったことは何を意味するのでしょうか。
原告は、私法上の権利の得喪変更が生じる法律行為による賠償請求事件として、著作権と所有権の所有権絶対の原則を問題点としているのに、「ID登録の抹消義務」があるかないかの、過失責任の原則に争点がすりかえる権限が非調査人の弁護士にあるのでしょうか。しかも、原告が、被告側に、ID登録の抹消の義務はないと承知したと答弁しているにもかかわらずです。
まして、非調査人は、第二準備書面(乙6号証)で、「妨害排除(請求)権」なる権利の具体的な意味内容は不明である」とし、「少なくとも原告には、被告に対する妨害排除権ないし、妨害排除請求権と名のつく権利が認められることはない」としています。
しかし、原告に民法198条で認められている妨害排除請求権は、民法の初歩ではないのでしょうか。また、妨害排除請求権と名のつく権利が原告に認められるかどうかを争点にしているのに、一方的に「そんな権利はない」とする被調査人の発言は、法曹人として許されるのでしょうか。
弁護士から、法律で認められている権利を一方的に、また裁判の中で否定されたことは、原告の精神的苦痛は多大であります。この、他人の権利を踏みにじる行為は「不法行為」ではないのでしょうか。
被原告の争点を挿げ替える行為には悪意がみられ、また、原告の法律上の権利を裁判の中で否定する行為は、弁護士の権力を乱用する暴力であり、また、他人の権利を弁護士という立場で否定する行為は不法行為とし、この懲戒請求を申し立てました。
綱紀委員会においては、被調査人に対して、客観的、かつ論理的で、公平なそして厳正なる措置をとることをお願いいたします。
2003年4月15日