提言:政党シンクタンク |
- 日時: 2005/12/20 15:53
- 名前: hashimoto
- (1)自民党のシンクタンク構想が骨抜きに
自民党は、霞ヶ関依存の政治体質から、政治家主導の政治体質への布石として、年内に、シンクタンクの設置を発表していたが、政策立案を研究に置き換えて、個別の研究テーマを民間機関に委託する方向だという。
政党シンクタンクは、省庁の権益に絡んで省庁間にまたがる課題に対応できないという、現在の宦官政治の悪弊を断ち、政治家主導の政治への布石となるもので、シンクタンクの研究者が首相官邸のスタッフに将来就くなどを想定していたが、各省庁と連携している自民党政調部会で胡座をかく議員らは、ポストが奪われるこの構想に賛成するはずがない。
改革実行本部長太田誠一は、「作りはしますが、独自の研究活動は限定的なものにします」として、数テーマの研究を外部の民間機関に委託すると方向を明らかにし、あからさまに、この構想の抵抗勢力であることを宣言した。
(2)陳情=ロビー活動、政治のコンサルタント=政策立案
日本では、業界や労働組合ごとに組織団体を設立し、陳情という形式で国会議員を通して、主に企業の権益は中央政治で、労働組合の権益は地方政治で反映させてきた。
問題は、国会議員はこの陳情を各省庁にごり押しすることが”政治”だと考えていることである。そして、官僚らは、彼らの要求を法律で既得権益としてあげるかわりに、行政法人(特殊法人)などを絡ませることで、省益を拡大していったのだ。
このような構造的な問題を整理しないで、ただ、脱霞ヶ関という理由付けで、政党シンクタンク構想をしても、太田誠一のように政策を研究に置き換えたり、アウトソーイングをしたりと、ピンぼけな発言ばかりとなるのは当然である。、
政党シンクタンク構想には、ロビー活動とコンサルタントという二つの概念を整理するべきである。それは、日本の場合、陳情=ロビー活動であり、政治のコンサルタント=政策立案であるということだ。その上で、国会議員というのは、陳情を政策に反映することが業務であるということだ。
問題は、陳情の受付も政策立案も、国会議員一人でするのではなく、それぞれの専門家によるチームでするべきということである。秘書などという前近代的な呼称はやめて、政策スタッフとするべきであり、国会議員を代表とする政策集団を形成するべきでろう。
(3)政党は政策スタッフの集団とすべし
次ぎに政党と国会議員の関係であるが、政党は、政策スタッフの集団として存在し、国会議員は政党から政策スタッフを派遣してもらえばいい。どの政党と結びつくかという選択は国会議員側にあり、国会議員は政党と対等の関係であるべきだ。
朝日新聞は、「シンクタンクは本来、特定の団体やイデオロギーにとらわれずに政策提言や研究を行う」などと書いているがとんでもない話であり、なんでも足して二で割るようなことができるはずがないではない。また、「政党所属のシンクタンクは世界的にまれ」などと書いているが、政党=政策集団であり、朝日新聞のいうシンクタンク=企業主体の研究機関は、企業の権益を主張するロビイストでしかない。
政党を企業に見立て国会議員を会社員とする今の政党政治では、いつまで経っても霞ヶ関の官僚主導の政治は変えられない。まず、政党と国会議員の関係、陳情と政策立案の違い、秘書などという非近代的な制度の見直など、基本的な問題を整理しないと、何をやっても無駄だ。
この意味で、国会議員を中心とした政策グループの存在と、方向性を同じとする政策集団を政党とするべきで、この両者はきちんとした線引きが必要である。
(4)政党と国会議員は対等であるべき
権益の違いを認め、政党はそれぞれの団体の権益を基本に政策提言をすることで、政党の存在感が生まれる。基本的に、既得権益側と非既得権益側に分かれるべきであり、内政のスタンスの違い軸に、与野党が分かれるべきであろう。
基本的に政党の財源は、国民の寄附とするべきで、寄付行為が浸透していない日本の場合は、政党への献金を非課税として半強制的に寄附させるもの必要だ。もちろん、政党助成金は廃止だ。
政党は、政党は政策スタッフの集団とし、政策スタッフを国会議員に派遣させることで、国会議員への資金的な関係を構築し、国会での表決に政党の意思を反映させる。重要なのは、政党と国会議員を対等とすることである。
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