前のページへ > 記事閲覧
デフレ脱却に、NPOの育成とワークシェアリング
日時: 2002/12/08
名前: hashimoto

いまの日本のデフレ経済は、需要に対して供給が上回っているから物価が下落しています。デフレ脱却には、過剰な供給の生産力調整をしつつ、新しい需要を満たす産業の育成に期待するしかありません。

 従って、肥大化した公需の分野の土木・建設業の産業は生産調整は避けられず、この失業者の受け皿となる産業の育成が急務です。この産業の育成を官主導で行うのか、市場原理に従うのかで、経済政策は分かれますが、前者の、過去10年間の財政支出によるケインズ政策は、完全に行き詰まっています。

 こうした中で、従来の公共事業に変わる産業としてNPOなどの準公的サービスの分野での産業が注目されています。高齢化の中で介護を中心とする高齢者向けサービスの需要や、環境保全のような分野や少子化に歯止めをかけるための育児・教育支援、女性の社会進出に伴う家事支援ビジネスなど、どうしてもマンパワーが必要な労働需要があります。

 準公的サービス業で注目されているのが、NPOと呼ばれる非営利組織です。しかし、日本では、非営利組織と言う形態では、資金が集まらない現実があります。非営利組織はサービス業であり、無報酬のボランティアではなく、寄付で成立する財団の概念が薄い日本で、欧州やアメリカのNPOの概念をそのまま導入するのは無理があります。

 本来、非営利による準公的サービスは行政の仕事ですが、行政では競争原理が働かず、既得権益ばかり先行している現実があります。そのように考えると、この分野に競争主義を持ち込むNPOの活動原資は、行政が負担してもおかしくはありません。

 私は、彼らを、労働市場の一翼として位置付けるのならば、収益に行政からの補助金や市民からの寄付金は必要不可欠だと考えます。つまり、準公的サービスのニーズを満たすのがNPOに科せられるのであり、これは行政事業のアウトソーシングと捉えているのです。

 NPOによる労働市場を形成するならば、公益法人を含む行政機構のリストラクチュアリング=事業の再構築をしなければ、準公的サービスに潜在するニーズは市場には出てこないでしょう。NPOの育成は、行政のリストラクチュアリングにかかってきます。

 私は、行政のリストラクチュアリングの戦略としては、行政に民間企業の労働者を入れることだと思います。民間企業でリストラクチュアリングを経験した民間の労働者を行政に入れるのです。彼らを軸に、市民のニーズに対応する行政組織に体質転換をして、準公的サービスのニーズの掘り起こしてもらうのです。

 そして、準公的サービスのニーズに対応する組織ができたとき、その組織を行政から切り離し、NPOとして独立させます。NPOは、収益事業ですから、ニーズに変化に対応しないものは淘汰されていくでしょう。淘汰される産業体質にこそ、活力とモラルが生まれるのです。

 この行政のリストラと失業問題を解決するのが、行政のワークシェアリングです。公務員の賃金を時間給に置き換えて、一人あたりの総労働時間を減らして、新規雇用を生む、ワークシェアリングを採用するべきです。

 一人あたりの総労働時間を減らすことは給与の減少になりますが、財政が破綻しているのに、民間企業の労働者と開きのある公務員の給与を考えれば、民意は通ると思います。もちろん公務員側は反発するでしょうが、民間の労働者の声が多ければ通るでしょう。二者択一の政治を恐れてはいけませんし、国民を信頼するべきでしょう。

 国と地方を合わせて450万人の公務員の総労働時間を15%、新規雇用にまわせば、約68万人の雇用が生まれます。雇用を下支えし、消費を下支えすることで、実体経済への波及効果も期待できます。そして、公的サービス部門を、NOPとして行政から切り離すことで、国民負担の少ない行政組織に生まれ変われるのです。

 アウトソーシングされたNPOは、市場原理にさらされ、競争主義と淘汰の原則が、この産業の活力とモラルを維持するでしょう。もちろん、NPOに対する税金投入は、国民の判断を反映するシステムが必要となりますが、「日本型の寄付金制度」を税体系に組み込むことは、現在のコンピューターの技術は可能でありましょう。

 この公務員を対象としたワークシェアリングで、失業問題を克服し、NPOを中心とした準公的サービス産業の育成の、デフレ脱却の道しるべとするべきです。
メンテ
Page: [1]

題名 スレッドをトップへソート
名前
E-Mail
URL
パスワード (記事メンテ時に使用)
コメント

   クッキー保存