労働者派遣法について |
- 日時: 2006/08/25 13:34
- 名前: hashimoto masahiro
- (1)労働法の基本概念が間違っている
労働者=消費者であることを考えると、労働時間の法規制は当然必要であり、社会保障の観点から労働環境の法規制も当然必要です。しかし、日本の労働法は「労働三権」を中心に構成されていて、賃上げしか眼中にない労働組合は、企業との「三六協定」を既得権益として、労働条件の劣悪化を促進させてきました。
また、賃金の中間搾取の排除を規定した労働基準法の第六条 の「何人も、法律に基いて許される場合の外、業として他人の就業に介入して利益を得てはならない」という条項も、法律によって賃金の中間搾取の排除を認めるという条文のみが暴走して、経済的奴隷制度とも言える「人材派遣法」を法定化してしまいました。
日本国の労働者は、御用組合でしかない労働組合に団体交渉権を握られ、派遣労働制で階層化された非正規雇用者は、「使用者」側の優越的地位の乱用になすすべがありません。政治も、二大政党を謳う政権野党の民主党が、労働組合を支持母体としているで現実は、政治に対する不信感と無力感にさらされています。
資本主義では、利潤を求める企業を「使用者」と定義するのに対して、賃金を求める行為を求める「労働者」と定義されます。原理資本主義では、人件費・役員報酬費・株主への配当金を利潤と定義していて、その分配率において賃金が変動するものであるとしています。
問題は、使用者である企業と、労働者の関係は対等ではないことで、使用者側は、優先的地位の乱用を規制される立場にあるということです。この意味で、使用者と労働者を対等の立場として法規制している日本国の労働基準法は根本から間違っています。
総生産額から原材料費と機械設備などの減価償却分を差し引いた、人件費・役員報酬費・株主への配当金を「利潤」とすると、資本主義経済では、利潤を求める行動において、企業側と労働者側の利害は一致してきます。一致しているからこそ、良好な労使環境の構築が必要なのであり、そのためにも、非優先的地位にいる労働者側は、労働基準法による法的保護が必要となります。
つまり、労働基準法は企業(使用者)による労働者にたいする「優先的地位の乱用を規制する法律」でなくてはならないのです、従って、優先的地位の乱用を実質的に支える「三六協定」などの条項は即刻削除するべきであり、従来の団体交渉権で労働者の権利を主張する労働三権の概念を否定することで、官僚主義の背中で、既得権益を享受する日本の労働組合を否定する必要があるでしょう。団体交渉権を求めるのではなく、優先的地位の乱用を規制することで、労働条件や賃金などの労働者の権利を守っていかなければなりません。
(2)人材派遣会社は労働組合的であるべき
有期雇用と無期雇用などの分類もナンセンスで、企業が存続している間は雇用契約とするべきで、解雇権の乱用を法的に保護する有期雇用を野放しにしている日本では、健全な資本主義経済は成立していません。
また、当事者である「請負人」が相手方に対し仕事の完成を約束して、注文者がこの仕事の完成に対する報酬を支払うことで成立する「請負」という概念は建設業などで広く見受けられますが、これは、さまざまな専門業者が参加する必要があるからで、基本的に材料や道具などの資本の調達を含む経済活動であるのに、製造現場などで、工場の生産ラインに労働者を送り込むことを「請負」としたり、また「派遣」であれば合法的であるとする論議を見るに、「請負」や「中間搾取の禁止」という資本主義経済の基本概念の欠如していると思わざるを得ません。
資本主義経済に於いて、賃金の中間搾取である日本の人材派遣は実にナンセンスです。仮にこの人材派遣を合法化するのであれば、労働組合的な組織にするべきでしょう。
その上で、派遣元の雇用形態を常用雇用とするべきでしょう。組合員(派遣社員)の仕事のない空白期間の賃金の保証は、組合員同士で互助会的に助け合うようにし、そのリスクも含めて、派遣先企業との価格交渉をさせるようにします。派遣元では、労働者の専門的技能を把握し、それに見合う報酬を支払う企業を見つける努力をすることで、派遣会社の形態が業種別にまとまることで、技術の伝承や生産力の向上がもたらされるでしょう。
このような労働組合的な人材派遣の会社形態としては非営利法人とするべきで、利潤の分配など経営の情報公開を労働法で義務づけるべきなければなりません。そして、短期雇用と常用雇用の区別をきちんとつけ、短期雇用の人材派遣は、賃金の中間搾取であるとし厳格に法規制するべきでしょう。
また、資本の調達を含まない経済活動を「請負」とするべきではありません。工場のラインに作業員を送り込むだけの業務は、請負にしろ派遣にしろ賃金の中間搾取でしかなく、労働法の中で厳格に規制しなければなりません。
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