リサイクル産業を育てる気のない経済産業省 |
- 日時: 2003/09/25 10:25
- 名前: hashimoto
- 03年10月から、家庭用パソコンの廃棄が有償化される。2年前の家電リサイクル法で、テレビ、冷蔵庫、洗濯機、クーラーの四品目が廃棄のときに、リサイクル料を徴収するのに対して、家庭用パソコンでは、10月以降、廃棄処分代が製品価格に上乗せされる。
どちらの方式がいいのかという前に、まず、リサイクルの費用を製品価格に上乗せするのと、廃棄のときに消費者が負担する違いを明確にしなければならない。また、リサイクルをメーカー別に考えるのと、解体とリサイクルの門戸を開いて民間企業が自由に新規参入ができる場合を考えるべきだ。
前者のリサイクル費用に関しては、消費者が負担する場合に、経済的には買い替え需要へのマイナスの影響は否定できない。また、環境的には、不当投機が増えることが考えられる。これに対して製品価格に上乗せする場合、コスト増に対しては、企業間の競争原理で克服できる。また、環境的には、解体することで、前払いのリサイクル料がもらえれば、民間企業の参入が増え回収率が上がるだろう。また、民間企業による技術革新で、解体した部品の再資源化も向上するだろう。
しかし、日本のリサイクルは、経済産業省が主導していて、リサイクル料を消費者が負担するのか企業が負担するのか統一した見解はないし、メーカー主導で、解体とリサイクルをすることで、この分野の市場の新規参入する余地がない。つまり、リサイクルを産業として育てる方向性がまったくない経済産業省と、環境問題に取り組む姿勢のない環境省の実態が見えてくる。
また、家電は(財)家電製品協会、家庭用パソコンは電子情報技術産業協会、自動車は、後払いで集めるリサイクル費用を管理する「資金管理法人」と、メーカーが倒産したり、輸入業者の廃棄処分を引き取る、「指定再資源化機関」そして、後払い制度の事務処理を請け負う「情報管理センター」などの細分化などは、官僚の天下りが批判されている中で、看過してはならない問題なのである。
21世紀の環境問題は、避けては通れない地球的な問題であり、また経済的に、リサイクルは資源のない日本にとっても、日本経済を牽引する新しい産業としてきわめて重要な分野であることをまず認識するべきだ。そして、経済原則に従えば、リサイクルのコストは、消費者ではなくて、競争原理によるコスト低減のある企業側に負担させるべきだろう。
行政がするべきことは、消費者にわたった製品が、日本国内でどのように流通しているのか、そして、その製品が、廃棄されるのか、中古として国外に持ち出されるのかなどの追跡調査であろう。家電でもパソコンでも自動車でも、解体する作業と、その部品をリサイクルする市場は、自由な市場とするべきであり、その市場を、リサイクルはメーカーの責任などという詭弁で規制をかけてはいけない。
リサイクル産業は、日本の社会主義経済=統制経済から、資本主義経済=自由経済への移行できるかどうかのリトマス紙だ。新閣僚となった、小池百合子環境相は、このリトマス紙の意味を理解できるだろうか。しかし、経済産業省の中川昭一では、これを理解することはまず無理であり、また、このような提言のできない野党第一党の民主党では、日本経済の夜明けは遠いのが現実だ。
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