場当たり的な政府の経済政策 |
- 日時: 2003/06/11 10:15
- 名前: hashimoto
- 政府は10日、経済産業、厚生労働、文部科学省と連携して若年層のフリーター対策や、サービス業を中心とした雇用創出案を発表しました。しかし、この雇用創出案は、産業構造の変化で減少する雇用者数は差し引いてはいないし、定職を持たないフリーターを懸念しながら、レイオフより雇用条件の悪い契約社員制度を押し進めているのは政府自体であるという矛盾を抱えています。
問題は労働力の需要と供給のバランスであり、そして、労働力とはイコール雇用者のことではないという発想が必要なのではないでしょうか。つまり、零細企業の社長も労働者であり、中小企業の役員もまた労働者であり、雇用者の対極とすることはナンセンスだという意見です。
私は、利潤というのは「労働力の搾取によって生み出される剰余価値」という概念ではなく、人件費・役員報酬費・株主への配当金を「利潤」と定義するべきである主張しています。つまり、経営側と労働者を対極として考えるのではなく、同じ労働者として考えるべきだという意見です。
この考えにたてば、失業問題は経済活動に参加するという意味で「就業問題」とするべきではないでしょうか 。就業率を上げるために、何をするべきかと考えれば、政府の500万人の雇用創出などの机上の論理はうまれないでしょうし、規制緩和で派遣社員制度を認めながら、フリーターを批判するなどというふざけた論理もなくなるはずです。
企業は経済活動で利潤を求め、その利潤は、株主、経営側、そして労働者側の三者で分配されるべきものであり、この分配率を規制などでコントロールすることで、経済のバランスを取るのが政治です。そして、労働者の中で、正社員とか契約社員の階級をつくるべきではありません。こんなことをすれば、日本の技術力や労働生産性はとんでもないことになるでしょう。この労働者層の階層化を阻止するには、時間給を基本とした賃金体系に移行するなどの抜本的な制度改革が必要となるでしょう。
雇用問題ではなく就業問題としてみることで、経済全体の流れが見えてくるし、また、その流れに逆らうのではなく、バランスをとることが経済政策であるということがわかるでしょう。それが本当の経済ビジョンなのです。他人様の論を紹介することをビジョンとする時代ではないのです。
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