原発を再稼動する理由

濃縮ウラン事業を考慮せずに、原発の再稼動に反対とか賛成とか議論は不毛


日本の電力会社が、原発を再稼動する理由は、濃縮ウランの生産のためでしょう。OEM生産を請け負っている日本の電力会社は、濃縮ウランをアメリカに納入する契約を守らなければなりません。ガス拡散方式による濃縮ウランの生産には、巨大な電力が必要で、また、原子炉を利用した冷却設備がセットでなければプラントは稼動しません。

電力会社の電力需給見通しには、濃縮ウラン精製における電力の需要が盛り込まれていますが、公にすることができません。再稼動反対派が、電力需給見通しに疑問を持つのは当然ですが、電力会社としても、やみくもに作った電力需給見通しではありません。

ガス拡散法による濃縮ウラン生産という情報を共有しなければ、両者の電力需給見通しは絶対に一致しないでしょう。そして、米軍をバックとする軍産複合体の圧力は強力です。

濃縮ウラン精製における電力の需要を考えずに、電力会社の電力需給の見通しを批判しても議論は進展しないでしょう。前政権の自民党も、東電が、米国の軍産複合体の傘下で濃縮ウラン事業をしていることは承知しているでしょう。だから、政治の争点として原発問題は取り上げられないのです。

安全についても、電力会社と政府は安全保障の概念にたって濃縮ウランの事業を再開しようよ考えているのであり、放射能汚染を心配する市民側とは、安全の土俵が違うのですから、これも意見は一致しません。

政府と電力会社は、は電力利権のために原発を再稼動するのではなく、濃縮ウランの生産を開始しなければならず、そのために、原発を稼動させなければならないのです。

濃縮ウランの精製は、ガス拡散法の設備が主力であること。膨大な電力が必要なこと。軍産複合体からの圧力があること。この事情を共有化しないで、原発の再稼動に反対とか賛成とか議論しても埒があきません。